本日(2011年7月20日)のニュース解説は、

「KTX(韓国高速鉄道)の事故(発生)が止まりません。」

の第一声から始まります。

これは、去る7月17日に慶尚南道金泉のトンネル内で約1時間にわたり列車が停止して客室内も全面停電となり、乗客が「酷暑・暗黒・衝突の恐怖」に苦しめられた直近の事故を受けてのことです。

また、KTXの事故発生に関する現状について以下の通りであると説明しています。

・上記事故は今月(2011年7月)だけでも既に5回目のことであり、今年(2011年)に入ってから計36回も発生していること。
・故障による停車事故があまりに頻繁なことから、「故障鉄道」に加え「恐怖鉄道」といった汚名まで被っていること。
・「恐くてKTXにはとても乗れない」との声が高まっていること。
・集団訴訟にまで発展していること。

・KTXの車両にはフランス製と国産の2種類があるが、フランス製の車両については製造後10年が経過していることから老朽劣化が進んでおり、一方の国産車両については「安定性」に問題があるとKORAIL(韓国鉄道公社)側も見ている模様であること。

・さらには、事故の発生している原因も依然はっきりとは究明されていないこと。

解説委員は、上記の状況を「病気」に例え、「病名が明らかになってこそきちんとした処方ができるわけだが、現状ではまったくそうした状況に至っていない」と指摘しています。

また、「KORAIL(韓国鉄道公社)側は機械的な欠陥に原因を転嫁しようとし、一方、メーカー側は『運用上の誤りが大きい』とし、互いに責任のなすりあいに汲汲としている印象を受ける」とし、「こんなことできちんとした原因究明が果たしてできるでしょうか?」と両者の対応を非難しています。

また、

・機械関係の人員を3000名余りも削減したことが事故を誘発しているひとつの原因になっているのではないか

との見方があることも紹介しています。

次に、行政やKORAIL(韓国鉄道公社)側の対応状況について以下のように説明しています。

・国土海洋部(監督官庁)とKORAIL(韓国鉄道公社)は、去る(2011年)4月、KTXの安全性を(今後)航空機並に引き上げると「公言」した。
・しかしそれが「公言」ではなく「空言」となってしまうまでに時間はかからなかった。
*「公言」も「空言」もハングルでは「공언」となり同一の表記・発音であることから皮肉・揶揄として使われています。参考までに、政治に関する話題でも、「『公約』(공약)が『空約』(공약)となった」などといった表現がよく使われます。

・乗客の不安感が最高潮に達したことを受け、監査院が監査に乗り出した。
・部品やその調達過程、電気・通信の分野まで、詳細に調査を行う模様である。

ここで、解説委員は両者(国土海洋部とKORAIL(韓国鉄道公社))の対応の悪さについて

・こうして監査院が監査に乗り出す状況にまで至っているにもかかわらず、依然、両者の対応はこの夏の酷暑のように暑苦しくもどかしい。
・積極的に解決に乗り出そうという姿勢も、責任を取ろうという姿勢もまるで見られない。

と再度非難しています。

また、KTXの利用状況について

・平日には1日平均12万名、週末には同15万名が利用している。

という事実に言及した上で、

「KORAIL(韓国鉄道公社)側は、人命被害が生じていないのだから特段大きな問題ではないと考えているのかも知れないが、(もしそうだとしたら)とんでもないことだ」と強い論調で語り、

最後に、

「KTXは時速300KM以上にも及ぶ高速列車であることから、大型事故の危険性を常にはらんでいる」とし、「一日も早くシステムを全面的に再点検し、原因を究明し、対策を講じるべきである」

と提言して論説は締めくくられています。

上記「ニュース解説」は、KBSのサイトの以下のページで(ストリーミング動画による)視聴が可能なほか、解説の内容(スクリプト)をテキストベースで閲覧することも可能ですので、ご興味のある方はアクセスなさってみてください。

http://news.kbs.co.kr/special/digital/newscomm/2011/07/20/2326707.html