北朝鮮(・・韓国では一般的に「北韓」と呼ばれており、KBSニュース解説でもその呼称が用いられていますが、当サイトでは、日本で一般的に用いられている「北朝鮮」という呼称で表記させていただきます。)の「金剛山観光」が、韓国側からの観光客が銃殺された事件を契機に中断されてからかなりの期間が経過しています。

本日(2011年7月14日)のニュース解説では、「金剛山における南(韓国)側の財産権」を巡る協議が昨日(7月13日)開催されたことを受け、「金剛山問題」に関する今後の展望や提言などの論説が展開されています。

まずは、事実関係の整理を中心に、以下のような点に言及しています。

・北朝鮮側が、昨年(2010年)、「金剛山における南(韓国)側の財産権」に対する没収・凍結の措置を一方的に発表したこと。
・先月(2011年6月)末には、「金剛山における南(韓国)側の財産権」の関係当事者が金剛山をに集まり処理の方策について論議しようと持ちかけ、その(提案された)協議開催の期限がまさに昨日(2011年7月13日)であったこと。

・昨日(2011年7月13日)の会談では、北朝鮮が新たに制定した「金剛山国際観光法」に従い、韓国側の企業はあらためて「財産登録」等を行った上で観光事業を再開するよう要求してきたこと。
・上記要求に賛同しない場合、金剛山内にある韓国側の財産については賃貸・譲渡・売却等の処分をしなければならないとの、従来からの主張を繰り返してきたこと。

・韓国側は、上記要求に対し、既存の南北当局間の合意、事業者間の契約はもちろんのこと、国際的な慣例に照らしても認められるものではないとの主張を重ねて強調していること。

上記のような事実関係を踏まえ、解説委員は
「金剛山を巡る論議がここまで平行線をたどる根本的な要因は果たしてどこにあるのだろうか」と問いかけています。
そして、上記「問い」に対して以下のような持論を展開しています。

・この問題は、金剛山における「施設」に関する韓国側の「所有権」の問題の次元を越え、本質的には、南北双方の「対北」・「対南」政策全般にかかわる問題であること。
・観光客が銃殺被害に遭った事件に関する韓国側からの謝罪要求を徹底的に拒否しながらも、北朝鮮側が「財産権」に言及し、韓国側に観光事業再開の圧力をかけ続けている背景には、まさに「経済的な対価」が北朝鮮側にとって切実な問題であるからである。
・そして、韓国側からの粘り強い謝罪要求をかわしつつ「譲歩」を迫るカードとして登場したのが、まさに「金剛山における財産権」の問題である。
・問題は、韓国側が、北朝鮮側のそうした「意図」を無視できない状況にあるという点である。

・天安艦沈没事件(천안함 침몰 사건:http://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%B2%9C%EC%95%88%ED%95%A8_%EC%B9%A8%EB%AA%B0_%EC%82%AC%EA%B1%B4ご参照)や延坪島砲擊事件(연평도 포격 사건:http://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%97%B0%ED%8F%89%EB%8F%84_%ED%8F%AC%EA%B2%A9ご参照)以降、韓国側は「原則にそぐわない『対話』(要求)には恋恋としないという立場を国内外に対して繰り返し主張してきたという経緯がある。

・南北双方とも、「金剛山財産権問題」に関しては、単純に「経済面の枠内での解決策を模索する」という安易な立場には立てないという事情があるという次第である。

・事実、「金剛山財産権問題」が本質的な問題ではなく、(もっと大きな次元での)「協議」のために用意されたものであるとの認識については、南北双方とも思惑は一致しているのである。

・北朝鮮側としても、金剛山観光の経済的利益を「極大化」しようとするのであれば、北朝鮮単独ではもとより実現不可能であることはわかっており、また、中国をパートナーとするようなことは南(韓国)側が容認しないという点についてもわからないはずはないのである。

上記のような持論が展開された後、

・経済的な問題を経済面の枠内のみで解決するのが困難であるのが南北関係の「特性」である。
・その「特性」を勘案しつつも、今は、「南北間の未来」のための会談やその準備に向け、いつにも増して神経を使わなければならない時である。
南北が「経済協力」を通じて実質的な交流を拡大していくことこそが、「高い障壁を打ち砕き」、「分厚い氷塊を溶かす」ための最善の方法なのである。

として論説は締めくくられています。

上記「ニュース解説」は、KBSのサイトの以下のページで(ストリーミング動画による)視聴が可能なほか、解説の内容(スクリプト)をテキストベースで閲覧することも可能ですので、ご興味のある方はアクセスなさってみてください。

http://news.kbs.co.kr/special/digital/newscomm/2011/07/14/2323702.html